久しぶりにガッツリ本を読みました。
この本はとてもいい本だと思います。
ネオンテトラ
妊活の話。
それなりに重い話です。
ネオンテトラというのは熱帯魚です。
私も30年ほど前に飼っていました。

とても美しいのですが、水槽のメンテが必要で、私のようなぐうたらな人間には少し面倒かもしれません。
この魚の習性がシンボリックなイメージとして使われます。
魔王の帰還
人間性あふれる姉弟の話。
私にはとても真似ができません。
これを読んであることを思い出しました。
かなり昔おそらく40年以上前に、NHKのラジオ番組でちょっと感動的な投書がありました。
ある女性の話です。
とても素晴らしい好青年と恋愛に落ち、結婚の約束までしたものの、ある日突然相手から別れを告げられます。
相手の好青年はその理由をどうしても教えてくれず、泣く泣く別れることになったそうです。
そして半年後にその好青年が亡くなったことを伝え聞きました。
脳腫瘍でした。
自分が脳腫瘍になったために、自分から身を引いたのでした。
今だったら、作り話じゃないかと思うほどの話です。
でもその時はとても感動したのを憶えています。
ピクニック
育児の大変さ、子供を失うことの悲惨さの話です。
私の兄は 6 歳の時に溜池で溺死しました。
両親の悲しみは尋常ではなく、おそらく精神的に少し病んだようです。
当然だと思いますが。
母親はほとんどその話をしませんでしたが、父親はずっと引きずっていました。
そして、その父親の態度が私の性格にも暗い影を落としたと思っています。
今年も、海や川で子どもたちが亡くなっています。
ほんのちょっとした不運によって子供が亡くなるのは、なんとしてもなくして欲しいと思います。
花うた
肉親を殺された被害者家族と犯人との話。
手紙を交換するうちに無知や憎しみが変容していくプロセスが語られます。
でもおそらく、実際の被害者の心情はこんな風に簡単に変わっていかないものだとは思いますが。
以前、禅か心理学の本にこんなことが書いてありました。
「怒りは長続きしない」
しかし、本当か?と思いました。
でも、やはり禅の本に書いてあったのは、
「人間の体にとってとても悪いのは怒り。それを中和するのは感謝の感情。」
さすがは禅。
無理だけど参考にはなります。
愛を適量
人生を半分諦めた初老の教師の話。
私の父は教師でした。
でも父の口癖は「お前は教師にはなるな!」でした。
父は旧師範学校出身ではなく、そしてそれは出世できないということを示していました。
でも実力的には父の方が優秀で、教頭を筆記試験によって選抜するようになってからの最初の試験で見事教頭に合格しました。9人の受験者で2人が教頭試験に合格したのですが、その2人に入ったのです。
教頭になるまでは、旧師範学校閥に差別されてウンザリした経験をたくさんしたようです。
今や教師はブラック職業の最たるものです。
教育というのは我々の社会にとって非常に重要だと思いますが、現時点で日本の教育制度は完全に崩壊しています。
これは行くところまで行かないとどうにもならないような気がします。
それともう一つのテーマは、性同一性障害。
LGBTという言葉は最近ではよく耳にしますが、これは「Lesbian、Gay、Bisexual、Transgender」の頭文字を繋げたものです。
私は今やほとんど中性ですが、若い時にはそれなりに性欲があり、それは主にホルモンのせいだったと感じていましたが、おそらくそれは間違っていました。
なぜなら、若い時にはおそらく男性ホルモン・女性ホルモンは多量に分泌されているにも関わらず、精神的には逆の人たちが存在するからです。
でも LGBT を心理学的にどのように捉えたらいいのかはまったくわかりません。
岸田秀もフロムもそのことに関しては書いていないからです。
新しい知見が必要なんだろうと思います。
式日
これはちょっとよくわからない話。
でも定時制高校に関する言及は「おおそうだ!」と思える部分がありました。
小学校か中学校の頃か今ではスッカリ忘れましたが、むかし夕方頃に学校にやってきて勉強している人たちがいました。
何十年も前のことですが、スゴいと感じたことを思い出しました。
日本という国家を支えてきたのはやはり教育制度なんでしょう。