官僚病の起源:岸田秀

この本も 20 年以上前に読んだ本ですが、とても面白い本です。

どんな本?

『大航海』という雑誌があったんでしょうか?見たことがあるような気もしますが、その雑誌に「歴史を精神分析する」というテーマで岸田秀が書いた文章を集めた本のようです。

太平洋戦争時の官僚軍人、アメリカ、フランス、韓国などに関して岸田秀独自の切り口で迫るものです。

官僚だけではなく「自閉的共同体」はすべて自分たちのことしか考えることができず、その結果自分たちの存在や価値を相対化できずに、周りを踏みつけても平気であるため、それが一般の会社であれば潰れてしまうものの、国家に雇われた官僚であれば排除されずに破綻するまで愚かな行為が続くということでしょうか?

裁判官や普通の官僚であればまだしも、軍人が官僚化すれば戦争を終結する能力を持っておらず、太平洋戦争のように多くの国民が命を落とすことになるということでしょう。

これは個人レベルでもそうであり、自分の考えは間違っていないか、常に他の人の意見を聞いて批判などを取り入れて自分の考えや行動を修正するようにしないと、自己完結してしまいとんでもない勘違いをする可能性があるということかと思います。

「英会話という病気」

官僚病とは全然関係ないのですが、この話はとても面白い。

 たとえば、電車なんかに乗ると、あちこちの英会話学校の広告がやたらと眼につくが、日本の英会話学校は一種の詐欺であるとわたしは思っている。日本人の、英会話がうまくならねばならないという外的自己と、英語を嫌って遠ざけたい内的自己との葛藤にうまくつけ込んで暴利を貪っているとしか思えない。
 多くの日本人が英会話がうまくなりたい、うまくなれば何かすばらしい世界が開けてくるのではないかとの思いに取り憑かれ、英会話の価値を信じて何カ月に何十万円かは知らないが、高い授業料を英会話学校に払って入学することはするが、払った授業料分の授業を残りなく受けるのはごく一部の者でしかなく、大部分の者はせいぜい最初の二、三回まじめに出席して、そのあと何となく体が動かなくなってずる休みをしてしまい、結局、払った授業料のほとんどはムダになる。

私は英会話学校に何十万円も払ったことはありませんが、昔アルクという会社の「ヒヤリングマラソン」というのをやっていたことがあります。

英語を聞いているだけでヒヤリング能力がアップして理解できるようになるという有り得ない話に乗っかってしまって、2年ほど続けたものの、ただ聞いているだけでヒヤリング能力がアップするはずもなく、当然ながら挫折しました。

その当時はすでにほぼ毎日酒を飲むようになっており、少し酔っぱらっている状態で理解できない英語を聞いていると、私にとってそれは猛烈に眠くなるという催眠作用を持っていたため、英語は睡眠導入剤としての役割しか持っていませんでした。

「ヒヤリングマラソン」というただ聞いているだけで英語のヒヤリング能力がアップというのはやはり詐欺に近いと思いますが、アルクのために言っておくと、「ボキャビルマラソン」はとてもいいものでした。

「ボキャビルマラソン」とは、語彙を増やすために英語とその日本語の意味を交互に声に出して言うという行為を繰り返すのですが、これは確かにある程度の効果があったと思っています。

さらに、リピーティングやシャドウイングもやってみましたが、期待したほどの効果が上がらず、私の球技の能力と同じように英語の才能もほぼゼロという結論に達して、ついに英語に関してはすべてを諦めました。