NASH とは脂肪肝の中で慢性炎症や線維化によって肝硬変・肝癌へと進行する可能性のあるものです。
脂肪肝の分類
アルコールを飲まない脂肪肝を NAFLD と呼び、その中で線維化が進行するものを NASH と呼びます。

NAFLD の有病率
最新のデータでは、NAFLD の有病率は 29.7 %・NASH の有病率は 3 – 5 % とされています。
有病率 | |
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NAFLD | 29.7 % |
NASH | 3 – 5 % |
つまり日本国民の約 3 割が NAFLD ということになります。
NAFLD・NASHの病因
NAFLD発症の最も重要な原因は肥満です。
特に糖尿病はNAFLD発症との関連が強いことが知られています。
NAFL は病態が進行しませんが、何らかのストレス(酸化ストレス、ミトコンドリアの機能異常、腸内細菌叢の変化に伴う免疫系の不活化など)が加わると炎症を起こし、NASHを発症すると考えられています。
NASH の診断
NASH と診断するためには肝生検は必須ですが、NAFLD 全員に肝生検をおこなうのは現実的ではなく、FIB-4 index などのパラメータなどにより、NASH の可能性の高い場合に肝生検をおこなって NASH と診断するのがよいと思われます。

NASH から肝硬変・肝癌
NASH から肝硬変・肝癌になる確率は以下のようになっています。
NASHから肝硬変 | 5-10年の経過観察で5-25%の方が肝硬変になります。 |
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NASHに肝癌 | 肝癌発生率は、5.29/1000 人・年と報告されています。 |
NASH の治療
糖尿病を合併していれば、それに対する適切な治療が大切とされています。
その上で以下のような治療をおこないます。
効果 | |
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食事・運動療法 | 体重減少は,NAFLD/NASH の病態を改善させる。 |
ウルソ | NASHに対する効果はないとされている。 |
ビタミンE | NASH の血液生化学検査および肝組織像を改善させる。 |