汝、星のごとく:凪良ゆう

2023年の本屋大賞作品で、非常に面白い本です。
ただ、最後の展開はちょっとあり得ないかなと思いますが。

日本は男女差別がひどい

比較的最近まで知らなかったのですが、日本は男女差別がひどい国のようです。

男女平等ランキング2022というものがあるのですが、それによると日本は世界146カ国中で116位とかなり下位のランクになっています。

エチオピア・インドネシア・中国よりも差別が大きいという評価です。
全体的な人権ではなくて、男女の人権差別に関するランキングなのでそうなのかもしれません。

日本社会の男女差別は多くの人がそれを切実には意識していないので、それこそが問題かと思います。意識化できれば少しは改善するかもしれません。

少子化対策として、女性が経済的に自立することはとても大切なことと思われるので、変な補助金を出すよりも男女格差を無くす方がいいのではないでしょうか?

この本の女性主人公は、日本の社会に横たわる男女差別に猛烈な違和感を感じながら生きていきます。

親ガチャ

生まれもった容姿や能力、家庭環境によって人生が大きく左右されるということを「親ガチャ」というようですが、この本の二人の主人公はいずれも家庭のハンディキャップを抱えた状態から人生を出発します。

家庭・母親にとても問題があるものの、自分たちは一生懸命生きてそれを乗り越えようとします。

人生のスタートラインですでに差がついているというのはある程度しょうがないと思いますが、その後は本人の努力でどこまでも上昇できるというのが理想だと思います。

しかし最近では日本人の貧困率は緩やかに上昇しているようで、それはそもそも努力するための基礎的環境が整っていないという人が増えつつあることだと思われるので、そのような社会は活気を失って衰退するし国家としての損失となるので、やはり最低限の環境は国家が整えるべきと思います。

挫折を乗り越える:スルーする

能力もあって努力もして社会的に成功しながら、あるアクシデントにより挫折するということはありうる話です。

たぶん、そんなことはこの社会では腐るほどあって、何らかの不運よって人間は窮地に陥ったり、幸運によって大成功したりするのでしょう。

不運によって挫折しても、自分の人生を投げてしまうことはできないので、前に進むしかありません。
その時に乗り越えようとするとちょっとしんどいかもしれません。
なので、鈍感力でスルーするのが最も賢いような気がします。

日本の政治家の打たれ強さから学ぶ最も大きな教訓は、面の皮のアツさです。

この本を読んでいて、才能に溢れていて周囲に支えてくれる人が多くいながら、投げやりになってしまったのはちょっと解せない感じがしました。