光のとこにいてね:一穂ミチ

スモールワールズでいい作家さんだと思った一穂ミチさんの作品で、これもまたいい作品だと思います。

小学生の時に偶然出会って心から惹かれあった二人の女性が主人公です。

母親と娘

それぞれの家庭に経済的な差はあっても、母親の愛情を十分に注がれなかった点でとても似ている者同士でした。

母親は娘に愛情を感じることができず、外面的に体裁を整えることしかできません。
父親は医師であり経済的に恵まれてはいても、その父もまた、娘に対する心の芯からの湧き出るような愛情を感じることができませんでした。

また、化学物質を極端に嫌い自然食品を過剰なまでに信奉し、娘にもそうあるように強制します。
これは新興宗教による社会問題と通底する課題のような気がします。

教師の労働環境の悲惨さ

最近とくに学校教師の労働環境の悲惨さが問題になっています。

私の父は小学校の教師でしたが、それは60年も前の話で、その頃は給料は安いもののとてもノンビリと働いていたように思います。
とくに夏休みなどは家にいて暇な時間も多く、私は小さいながらも教師というのはマッタリとした仕事だなぁと感じていました。

しかし現在では教師の労働環境はとても悲惨で、現場の教師にはこころを病む人も多く、おそらく日本の教育制度は一度破綻せざるを得ない気がします。

岸田秀さんは何十年も前から文科省を解体すべきという意見であり、それを呼んだ当時は「そんなことは無理だろう」と思っていましたが、ここまで来るとそうせざるを得ないような気もします。

女性の心理はとても複雑?

この本はとてもいい本なのですが、女性の心理の揺れが細かく描写されており、途中で「本当にここまでいちいち細かく心理が揺れているのか?」と感じる部分がありました。

実際のところ、ここまで感受性が高いと疲れてしょうがないだろうと思いますが、多くの人はもっとアバウトに瞬間瞬間をやり過ごしていると思います。

私の妻などはその道の達人で、そうでないとストレスが過剰になってしまうと思います。

鈍感力も生きていく上では必要なのでしょう。