北半球でなぜ台風の渦は左巻きなのか?

これ、以前から少し疑問でした。
気象予報士の方の説明ではよく理解できませんでした。

今日、BBC の自然番組を見ていて理解できない説明がされていたので、丁度いい機会だと思って調べてみました。
これでも、高校時代は物理は得意でした。50年以上前の話ですが。

BBCの説明

BBCの説明では、回転して遊ぶ遊具の上でボールを投げる実験でした。

平板状の回転する遊具の中心(B)にカメラを置いて、そこへ向けてAからボールを投げると、ボールはBの右に飛んでいきます。しかも、Aから見て少し曲がりながら。

これが台風の渦巻が左回転になる理由だという説明でした。
聞いた瞬間、ああ理解できないと思いました。

私はなんとなく以下のように考えていました。

赤道に近いほど高速で移動しているわけなので、ごく自然に考えれば、北半球では台風の渦は左回りになるはずです。これでいいんじゃないかと思いました。
ネットで調べてみてもそう考える人はいるようです。

コリオリの力

コリオリの力という言葉は覚えていましたが、内容はすっかり忘れていました。
コリオリの力とは、Wikipedia によれば、

コリオリの力(コリオリのちから、仏: force de Coriolis)とは、回転座標系上で移動した際に移動方向と垂直な方向に移動速度に比例した大きさで受ける慣性力(見かけ上の力)の一種。

最初の図で、ボールが右に曲がったのはコリオリの力によるものということです。
しかし、見せかけの力であり、回転しているためにそのような力が働いているように見えるということかと思います。

数式はとても面倒そうなので、数式を使わずに簡単に理解したいと思います。

もっと簡単なイメージ実験

なぜ、最初の実験のようになるのかがすぐには理解できなかったため、もっと簡単な実験を考えます。

まず、同じ速度で同じ方向に動いている2つの乗り物があるとします。

この場合は、AからBにボールを投げるとボールはBに届きます。当然ですよね。

次に、Bは止まっていてAが動いている場合、Bに向かって投げてもボールはBの右に飛んでいきます。

ボールが右にずれるのは、投げる方向にAの横方向への移動速度が加わるからですよね。
しかし、Aから見ればボールは投げた方向にまっすぐ飛ぶと見えるはずです。

ここでAが回転しているとしたらどうなるでしょう?

この場合には、ボールは右に飛んでると感じます。
しかも、回転するほどに右へと曲がっていくはずです。

これが、北半球で気流が右に曲がっていくことや偏西風の理由かもしれません。

北半球で台風の渦が左巻きになる理由

前に書いた理由は感覚的に書いただけで、本来もっと別の説明がされるべきだと思います。

台風は強い低気圧で周囲から空気が流れ込んできます。

そこに流れ込む空気はコリオリの力ですべて右に回るので、囲まれた空気は左巻きになるということのようです。

お風呂の水を抜くときの渦はコリオリの力を受けない

どこかの番組でお風呂の栓を抜くときの渦も台風と同じになるという内容の放送がありましたが、コリオリの力は移動速度と角速度に比例するので風呂の水くらいの速度ではほとんど影響はなく、あの情報は嘘だったようです。

地球の自転速度は時速1700km(赤道)なのに何故感じないか?

これもちょっと疑問でした。
答えは簡単で角速度が小さいから。
どれくらいかというと、4分で1度。これくらいだとほとんど気づかないでしょうね。