非専門医の糖尿病治療

糖尿病の評価と目標

抗糖尿病薬の種類

分類 名称 作用
インスリン抵抗性改善系 ビグアナイド薬 肝での糖合成抑制
チアゾリジン薬 筋肉・肝でのインシュリンの作用増強
インシュリン分泌促進系 DPP-4阻害薬 血糖が高いときにインシュリン分泌増強
スルフォニル尿素薬 インシュリン分泌促進
速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) 速やかにインシュリン分泌促進
糖吸収・排泄調節系 α-グルコシダーゼ阻害薬 小腸からの糖吸収を抑制
SGLT2阻害薬 尿への糖排泄を促進

商品名と副作用

名称商品名副作用
ビグアナイド薬グリコラン、メデット、メトグルコ食欲不振、吐き気、便秘、下痢
チアゾリジン薬アクトスむくみ、急激な体重増加
DPP-4阻害薬ジャヌビア、グラクティブ、エクア、ネシーナ、トラゼンタ、テネリア 低血糖、便秘
スルフォニル尿素薬ダオニール、グリミクロン、アマリール低血糖、体重増加
速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)グルファスト 低血糖
α-グルコシダーゼ阻害薬グルコバイ、ベイスン腹部膨満、下痢
SGLT2阻害薬フォシーガ 低血糖、尿路・性器感染、脱水、頻尿、皮膚症状

糖尿病治療薬の選択

インスリン分泌能が著明に低下している患者(インスリン依存状態)ではインスリン注射が必須ですが、そうでなければ、体型(肥満かどうか)、早朝空腹時血糖値の上昇が見られるかどうか、等の点で薬剤を選択していくのがよいでしょう。

例えば、明らかな肥満(BMI上昇)または内臓脂肪(腹囲増大、脂肪肝等)あれば、可能な範囲でメトホルミン(メトグルコ)と、経過によりピオグリタゾン(アクトス)を使用し、HbA1cが高い場合はDPP-4阻害薬を併用、不十分であれば、GLP-1アナログ使用も考慮していきます。
(https://nagoya-central-hospital.com/coordination/meeting/h270421.html)

第一選択は?

多くのサイトではメトホルミン(メトグルコ)を第一選択薬としていますが、その理由は大血管障害の抑制効果があるとされているからであり、 それに比較して DPP-4 阻害薬は大血管障害の抑制効果が確認されていないため、第一選択薬となっていないようです。

しかし安全性の面ではDPP-4 阻害薬の方が優れているため、「DPP-4阻害薬が最も安全で使いやすく、 第一選択薬になりうる」という意見があります。

またある専門医によると、
70歳未満の方ではメトグルコでスタートし、70歳以上はDPP4阻害薬。
DPP-4阻害薬の強さは、エクア>ジャヌビア>ネシーナ、とのこと。

やはり、非専門医であれば、DPP-4阻害薬で始めて効果が不十分であればメトホルミンをかぶせていくという方法でいいのではないかと思います。

それでもコントロールが不十分な場合は、専門医に紹介した方がいいかもしれません。

薬剤投与量

ジャヌビア50mgを1日1回経口投与。1日最高投与量は100mgまで。
メトグルコ1錠(250mg)を2錠、朝夕食直前または直後で開始。最高1500mgまで増量可能。