確か小学生の頃、母の実家に母と帰省した時に、とてもヤブ蚊の多い田舎で、私が自分の腕に止まった蚊を叩き潰したのを見て、祖母に「殺生するな」と怒られたことがありました。
でもばあちゃん、
血を吸う蚊を殺しちゃダメなの?
ばあちゃんはこう言います。
「フッと息をかけなさい。そうすれば逃げていく。」
「でもそれじゃ、また戻ってきて血を吸われる」
「そしたら、またフッと息をかけなさい」
んー、ばあちゃんの言うことは間違ってはいない。1匹殺したところで、やはりヤブ蚊はやってくる。
母方の祖父母はとても信心深い人たちで、母の実家に行くと朝夕の念仏の時間があって、仏壇の前に強制的に座らされて、少なくとも15分くらいはつきあわされました。慣れない私にはその時間がとても苦痛でした。
祖母は60過ぎて殺生しないと誓ったらしく、その後86歳で亡くなるまでその誓いを守りました。
玄侑 宗久さんの本はたくさん読みましたが、ある本の中に、
「殺生するなと説く禅僧の中で、自分の血を吸う蚊を打たない人がどれほどいるか?」
という文章があったと思いますが、ほとんどの人は叩き潰すでしょう。
もちろん、私は息を吹きかけて蚊を追い払うなんてことは未だにできません。