以下の論文をまとめます。
大腸側方発育型腫瘍の概念と内視鏡診断病変の拡がりに比し丈の高さが低く,腸管壁に沿った側方への発育傾向を示し, 平面上の大きさの割に深部への浸潤が乏しい病変を側方発育型腫瘍(Laterally spreading tumor:LST)と呼び、 1993 年工藤らによって提唱された。
LST は顆粒型(LST granular type;LST-G)と,顆粒・結節を有さない表面平滑な病変を非顆粒型(LST non-granular type;LST-NG)に亜分類された. 大きさに関しては,工藤らは最大径 10mm 以上のものと定義した.
肉眼型との具体的な対応に関しては,LST - NG では平坦隆起型が 0-Ⅱa ,偽陥凹型が 0-Ⅱa+Ⅱc /0 -Ⅱc+Ⅱa ,LST- Gでは顆粒均一型が 0-Ⅱa, 結節混在型が 0-Ⅱa /0 -Ⅰs +Ⅱa /0-Ⅱa+ Ⅰs にそれぞれ対応する(Figure 1 ).
工藤らは,“LST” を表面平滑な非顆粒型(non- granular type;LST- NG)と表面顆粒結節状の顆粒型(granular type;LST- G)に亜分類し, さらに LST- NG を平坦隆起型(flat elevated type)と全周性の陥凹局面(Ⅱc )を有さずなだらかな盆状陥凹あるいは全周の追えない不完全な陥凹を有する偽陥凹型(pseudo-depressed type)に, LST-G を結節顆粒の大小不同により個々の顆粒の大きさがそろっている顆粒均一型(homogeneous type)と粗大結節が混在した結節混在型(nodular mixed type)に亜分類した.
正確な診断のためには,インジゴカルミン散布法を用いることと送気によって大腸の管腔を十分に進展した状態で評価することがポイントである.
LST はいずれの病型も腫瘍径が大きくなるにつれて担癌率,粘膜下層(SM)浸潤率は高くなるが,特に,LST- G 結節混在型や LST- NG 偽陥凹型は他に比べ SM 浸潤率が高いことが特徴である.
また,LST の SM 浸潤部位に関しては,LST - G では粗大結節部や拡大内視鏡観察によりV型 pit pattern 部で SM 浸潤することや、 LST- NG 偽陥凹型では表面構造を保ったまま多中心性に SM 浸潤することがこれまで明らかとなっている.
担癌率はいろいろな報告によってかなりのばらつきがある。
LST は大きさに比して粘膜内病変の割合が高いため,基本的には内視鏡治療のよい適応病変である.
特に LST- G 顆粒均一型は腫瘍径に比してSM 浸潤率は低く,大きくてもほとんどが内視鏡治療の適応病変である .
内視鏡的分割切除が可能か一括切除が必要かの判定には,拡大観察による pit pattern 診断が必須である( Table 3 ).
ただし,LST- NG 偽陥凹型だけは,pit pattern 所見にかかわらず多中心性に SM 浸潤しやすいという特徴を有しており, SM 浸潤部位の同定がなかなか難しいため一括切除が必須の病変である(Table 3 ).
LST- G の多くは管状腺腫と管状絨毛腺腫で構成されており,管状絨毛腺腫は通常の隆起型病変とは組織像が異なることが知られている. 分子病理学的には LST- G では KRAS 変異と APC 遺伝子変異が通常型腺腫に比べて有意に高いことが報告されている.
LST- NG 型腺腫は組織学的には管状腺腫がほとんどを占め,分子病理学的には LST- G とは異なり KRAS 変異や APC 変異の頻度は低いことが知られている.
LST - G 顆粒均一型は「個々の顆粒の大きさがそろっているもの」で結節混在型は「粗大結節が混在したもの」とあるが,顆粒とは径何mm 以下のものを指すのか, 粗大結節は径何 mm 以上のものを指すのか,顆粒の大きさがそろっている,つまり均一とはどの程度不均一なものまで含めるのかなどが明記されていないために, 粗大結節が混在していなければ顆粒結節が比較的不均一な病変でも LST- G 顆粒均一型と診断している施設もある.
このような診断では,LST- G 顆粒均一型の担癌率や SM 浸潤率が高くなり, 本来の「LST- G 顆粒均一型」の病態(ほとんどが腺腫性病変)から逸脱した病変群になってしまい LST-G 亜分類の臨床的意義が薄れてしまう.
また,溝を伴った LST- NG 平坦隆起型と LST- G 顆粒均一型との鑑別も重要である( Figure 2 ).
LST- G 顆粒均一型はあくまでも顆粒状のⅠs 病変が集簇した病変であり,LST- NG 平坦隆起型に単に溝があるだけの病変は LST- G 顆粒均一型と定義するべきではない.
今回,顆粒を径 5 mm 未満,結節を径 5 mm 以上の大きさと定義し,LST- G を結節の最大径を指標にして,3 つのグループに分類した(Figure 3 ).
このようにすると,内視鏡検査経験のない学生群が病変の概念だけで診断しようとすると,小さな結節を含んだ LST を顆粒均一型と診断してしまう可能性があるが, 内視鏡経験を有していれば,結節の大きさにより Type 2 か Type 3 の診断に差はあるものの,「LST - G 結節混在型」を誤診することを少なくすることが可能である.