以下の論文を中心にまとめます。
抗凝固薬内服症例における内視鏡診療の現状と対策非弁膜症性心房細動患者では PT-INR が2.0 を下回ると脳梗塞の発症リスクが上昇し, 1.6 未満になると大梗塞の発症リスクが上昇するため70 歳未満では PT-INR を 2.0-3.0 で, 70 歳以上では出血リスクを考慮して 1.6-2.6 で調整することが推奨されている.
ワルファリン休薬時にはリバウンド現象により一過性の過凝固状態となり,血栓塞栓症のリスクが上昇する可能性も示唆され, 内視鏡検査時にワルファリンを血栓塞栓症の高リスクの症例に対して単純に減量・休薬することは血栓塞栓症の高リスクとなるため避けるべきである.
そこで,即効性かつ半減期が 40~90 分とワルファリンよりも短い注射用抗凝固薬である未分画ヘパリンで置換するいわゆる “ ヘパリン置換 ” が代替治療として考案された.
しかし,最近の報告では,ヘパリン置換は血栓症発症の危険性を軽減する作用は乏しく,むしろ出血のリスクのみを高めることが証明された。
そのため,現在ではワルファリン内服者に対する内視鏡処置時においてヘパリン置換を行う意義が問われており,それらの結果を踏まえた形で, 追補版では,ワルファリン服用者に対する出血高危険度の消化器内視鏡は,PT-INR で 3.0 以下の治療域であればワルファリン継続下, あるいは非弁膜症性心房細動の場合には DOAC に一時的の変更のいずれかの方法での内視鏡処置も行うことも認められた.
DOAC 服用者に対する消化器内視鏡度の消化器内視鏡処置時には,DOAC は前日まで継続内服して処置当日の朝から中止するとともに, 出血の徴候がない場合には翌日の朝から内服を再開することを推奨している. ただし,血栓塞栓症を発症する危険性の高い症例では処置後より翌日朝の DOAC 内服再開時までヘパリン投与を対応することも認可している.
当然ながら DOAC トラフ濃度が上昇すれば出血リスクが増加し、梗塞リスクは低下します。
DOAC(ドアック)は「Direct Oral Anti Coagulants」の略で、凝固因子を直接阻害することのできる経口投与薬の総称です。
薬剤名 | 製品名 | |
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トロンビン阻害薬 | ダビガトラン | プラザキサ® |
Xa 阻害薬 | リバーロキサバン | イグザレルト® |
アピキサバン | エリキュース® | |
エドキサバン | リクシアナ® |
ワーファリンがビタミンKを阻害することで間接的に第Ⅸ因子、第Ⅹ因子、プロトロンビンの働きを抑制し抗凝固作用を発揮するのに対して、 DOAC は凝固因子に直接作用して抗凝固作用を発揮します。
このため、ビタミンKを大量に摂取・産生する納豆を食べるとワーファリンの作用が減弱するの対して DOAC では食事の影響がありません。
上の事実を踏まえると、ワーファリンはなるべく DOAC に変更するようにして、ワーファリン投与の場合は服薬したままで処置します。
当日のヘパリン投与は処置後 3-4 時間してから翌日まで点滴静注しますが、これはオプションとなります。