潰瘍性大腸炎のバイオマーカー

(2024-11-28)

便中カルプロテクチン

カルプロテクチンは、カルシウムおよび亜鉛結合タンパク質で、主に好中球の細胞質に存在し、細胞質内のタンパク質の6割を占めています。 炎症性腸疾患(IBD)では、好中球の管腔への移行に比例して、便中のカルプロテクチン濃度が上昇することが知られています。

つまり便中カルプロテクチン値は腸管内へ移行した好中球の数と比例します。

そのため腸管の炎症であれば感染性腸炎や憩室炎でも上昇するので少し注意が必要です。

項目内容
検査名便中カルプロテクチン
診療点数268 点
所要日数3~6日
検査のインターバル3ヶ月以上
基準値240μg/g未満
高値IBDの炎症悪化、感染性腸炎、憩室炎、NSAIDs服用時

難点は、便検査であるため患者さんに採便の煩わしさがあることです。

血中 LRG

ロイシンリッチα2グリコプロテイン(LRG)は、定量的プロテオミクス手法により同定された新規炎症性マーカーです。 ロイシンリッチリピート(leucine-rich repeat)ドメインを8つ含む約50kDaの糖蛋白であり、炎症局所で産生されます。

項目内容
検査名LRG
診療点数268 点
所要日数2~3日
検査のインターバル原則的には3ヶ月以上
基準値16.0μg/ml未満
高値IBDの炎症悪化、感染症、リウマチなどの炎症性疾患、一部の悪性腫瘍

便中カルプロテクチンと LRG の使い分け

基本はLRGフォローで十分。ただし、特定の場面でカルプロテクチンを追加する戦略が合理的です。

  1. LRGと臨床症状が乖離しているとき
  2. LRGが正常〜軽度上昇なのに、症状(血便・腹痛・便回数)が続くとき
  3. 内視鏡を避けたいが粘膜治癒を評価したいとき
  4. カルプロテクチンの方が粘膜治癒との相関が強いため、生物学的製剤や免疫調節薬の効果を判定したい時に施行する
  5. 再燃リスクを慎重に評価したいとき
  6. 薬剤減量・中止を検討している寛解例などで、カルプロテクチン低値(目安 < 50〜100 µg/g)は再燃リスクが低い
  7. 直腸〜左側大腸優位の病変のフォロー
  8. 直腸炎型・左側大腸炎型では、全身炎症反映のLRGが変動しにくい場合があり、局所炎症の鋭敏な指標としてカルプロテクチンが有効な場合がある