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Collagenous colitisの診断と治療Collagenous colitisは 1976年 に Lindstromによって提唱された,慢性の水様性下痢と大腸上皮直下の膠原線維帯の肥厚を特徴とする疾患である. 通常,内視鏡的には異常所見を認めないことか ら,lymphocytic colitisと共に microscopic colitisの範疇に分類されている.
Collagenous colitisの病因は不明であるが,遺伝的要因と環境要因が関与する多因子疾患と考えられている. 特に,粘膜内の炎症細胞はリンパ球が主体でステロイド治療が奏効すること,小腸瘻を造設すると改善することなどから, 腸管内物質に対する粘膜内の免疫反応が発症に寄与する可能性が推測されている.
本症患者の大腸粘膜では IFNγ,TNF-α,IL-15など Th1型サイトカインの mRNA 増加していることから,細胞性免疫が関与すると考えられる.
胆汁酸の吸収不全が collagenous colitis患者の27~44% に見られること, 胆汁酸と結合するコレスチラミンなどの陰イオン交換樹脂が有効であることなどから本症の発症に胆汁酸が関与する可能 性が示唆されている.
欧米で は collagenous colitis患者の 17~71%で非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の内服歴が確認されており,患者・対照研究においてもNSAIDsと本症の関連が示されている.
近年ではランソプラゾールに関連した collagenous colitisが注目されている.本症患者におけるランソプラゾールの内服率は,欧米の報告では8%と少ないのに対し, 本邦では53~83% と極めて高い.
慢性・持続性の水様下痢が必発し,しばしば血便,腹痛や体重減少を伴う. 通常,急性発症を示し,感染性腸炎との鑑別が困難なこともある.脂肪便や蛋白漏出性胃腸症がみられる場合もある.
血液検査では CRP の上昇,血沈の亢進や軽度の貧血を認めることがある.50%以上の症例で抗核抗体が陽性であり, perinuclear anti-neutrophil cytoplasmic antiody(pANCA)やリウマチ因子が陽性となることも少なくない.
Collagenous colitisの内視鏡所見の特徴として,正常,あるいは発赤,浮腫,毛細血管の増生,粘膜の顆粒状変化などの軽微な所見にとどまることが知られている(Figure 2-a,b). これらはいずれも特異的な所見とはいえず,内視鏡所見のみで本症と診断することは不可能である.
一方,近年“mucosal tears”または“linear mucosal defect”と表現される特徴的な縦走潰瘍を呈した症例の報告が増加している. この縦走潰瘍は,細長く,粘膜が裂けたような形態を呈しており,開放性潰瘍の場合でも境界明瞭, かつ潰瘍辺縁の浮腫や発赤に乏しいことから虚血性大腸炎やクローン病でみられる縦走潰瘍とは様相が異なっている(Figure 3-a~c).
collagenous colitisにおける縦走潰瘍陽性率は,本邦では 35~46% と欧米よりはるかに高く,左側結腸を中心に分布している.
これらの縦走潰瘍の成因は未だ不明であるが,腸管の伸展性の低下,腸管内圧の上昇,あるいは肥厚した膠原線維帯による粘膜の脆弱性などの関与が推測されている.
また,内視鏡検査や注腸造影検査後に穿孔を来した collagenous colitis症例も報告されており,内視鏡検査を行う際は,過度な送気や腸管の過伸展を避けるよう注意する必要がある.
上皮直下の膠原線維帯の肥厚,および粘膜固有層における単球を主体とした炎症細胞浸潤が collagenous colitisの病理組織学的特徴であり,時に上皮内リンパ球が増加する.
膠原線維帯はヘマトキシリン・エオジン染色で好酸性に,マッソン・トリクローム染色で青色に染色され(Figure 4-a,b), その程度として垂直方向に 10μm 以上の厚さが本症の診断基準となっている.
膠原線維帯の肥厚は通常上行結腸から横行結腸にかけての深部大腸で顕著であり,直腸のみの生検では 11~40% の症例で偽陰性となる. 従って,本症の診断においては深部大腸を含めた複数箇所の生検を行うことが推奨されている.
経口ステロイド剤の一つであるブデソニドは腸管などの局所で作用を発揮し,速やかに肝臓で代謝されるため,他の経口ステロイド剤よりも全身性の副作用が少ない. 欧米では CC の治療にブデソニドが広く用いられ,臨床試験の報告も多数なされている(本邦では未認可).
ブデソニドを投与した CC 患者の 80% 以上で排便回数の減少などの効果がみられる.
しかしながら,ブデソニド短期投与後の再燃率は 61~80% と高値を示しており,何らかの維持療法が必要である.