以下の論文をまとめます。
高解像度食道内圧検査による食道運動異常症の診断と治療の新展開HRM に関する内容はカットします。
LES 機能異常の代表疾患で,嚥下性 LES 弛緩不全と食道体部の蠕動障害を特徴とする.アカラシアの病因と病態は未だ不明であるが,宿主の遺伝的要因を背景に, ある種のウイルス感染や自己免疫などが関連し発症すると考えられている . アカラシアの年間発症率は,0.5 人/10 万人と報告される比較的稀な疾患である .
LES 機能異常を特徴とする,最近提唱された疾患概念である.アカラシアと同様に,LES 弛緩不全を認めるものの,食道体部の蠕動障害は認めない. その特徴からアカラシアの亜型またはアカラシアに至る前の病態として考えられている.
食道体部蠕動波に異常を示す疾患で,LES 機能異常は認めない.
食道体部蠕動波に異常を示す疾患で,病因と病態は不明な点が多いが,非心臓性胸痛の原因となる代表疾患である. 繰り返す食道体部の強収縮の影響で,食道固有筋層の肥厚を CT や EUS にて観察できることが多い.
食道体部蠕動波に異常を示す疾患の 1 つで,食道体部に評価できる蠕動は認めない.
アカラシアに対して,薬物治療はほぼ無効であり,機能的弛緩不全に落ちいった LES を破壊する治療法が行われている. その代表的な治療法は,Pneumatic dilation(PD),Laparoscopic Heller myotomy(LHM)及びごく最近開発された治療法の Per-oral endoscopic myotomy(POEM)である.
アカラシアと同様に EGJOO に対しても根本的な治療は存在しない.平滑筋の収縮性を低下させるため, 理論的に有効と考えられる L 型 Ca 2+ チャネル拮抗剤や一酸化窒素(NO)ドナーの有効性も,症状を強く訴える EGJOO には満足ではない. 薬物治療で症状がコントロールできない EGJOO に対しては,アカラシア治療と同様に PD,筋層切開術,ボツリヌス毒素の局所投与による治療が施行されている.
我々は EGJOO の中に機能性ディスペプシアの治療薬であるアコチアミドに有効性を示す症例があることを見出した. 前述のように,EGJOO が前アカラシア病態とすれば,アコチアミドによる EGJOO 治療はアカラシアの発症予防につながるので,大変意義があると思われる.
食道体部に未熟収縮や強収縮を引き起こすこれらの病態に対しても,根本的な治療薬は存在しない.
平滑筋の収縮性を低下させる L 型 Ca 2+ チャネル拮抗剤や NO ドナー及びニコランジルは,HRM 検査上,未熟収縮や強収縮を改善し症状緩和に有効であることがあるが, その治療効果は限定的である.他に漢方薬である芍薬甘草湯が有効な症例もある. また,食道運動自体には影響を与えないと考えられるが,抗うつ薬である塩酸トラゾロンが食道運動に起因する胸痛に有効なことがある.
いずれにしても,決定的な治療法はなく,内服治療でコントロールできない場合は,症状緩和のために POEM が治療の選択肢となる.
現状では,食道体部の無蠕動を回復させる既存の消化管運動改善薬は存在しない . 無蠕動は,胃食道逆流症の病態に深く関わっており,無蠕動に伴う症状は胃食道逆流症に起因する症状であることが多い.
根本的な内服治療は存在しないので,酸分泌抑制剤による投与に加え,患者に病態を十分に説明し,食事/生活指導(ゆっくり食べる,油っぽい食事や辛いものを避ける, 就寝前に食事をしない,上体を少し高くして寝る)を行って治療していくこととなる .
薬物療法の効果としては限定的なようですが、一応以下のような投薬を試してみてもいいかもしれません。
L型カルシウムチャネル拮抗薬 | ニフェジピン10mg 1日3回、ベラパミル80mg 1日3回など |
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PPI | ネキシウム、タケプロン |
アコチアミド | アコファイド 100mg 1日 3回 |
漢方薬 | 芍薬甘草湯 2.5g 1日 3回 |
塩酸トラゾロン(抗うつ薬) | 初期用量 1日75〜100mg、1日200mgまで増量 |