クエン酸マグネシウム服用後に高 Mg 血症と糞便性腸閉塞をきたした 1 例

(2024-09-24)

高マグネシウム血症は、腎機能障害患者へのマグネシウム含有製剤の過剰投与が原因とされています。

しかし特殊な病態では、腎障害がなくてもマグネシウム製剤により高マグネシウム血症に至る可能性があるということを教えてくれる症例です。

クエン酸マグネシウム服用後に高 Mg 血症と糞便性腸閉塞をきたした 1 例

症例

患者:66 歳,女性。
主訴:意識障害。
既往歴:パーキンソン病,糖尿病。
服薬歴:酸化マグネシウム1g/日,センノシド 12mg/日,抗パーキンソン病薬,糖尿病薬。
現病歴:便秘と肛門痛のためバリウム注腸検査を予定して、前処置としてクエン酸Mg 34g(マグコロール P;Mg 含有量 2.7g)を内服し,その翌日に意識障害が出現したため救急搬送となった。
来院時現症:意識障害(JCS 200)、血 清 Mg 15.5mg/dL。
経過:腹部CTで糞便性腸閉塞症と診断された。高マグネシウム血症に対して血液透析がおこなわれ、腸閉塞に対しては人工肛門造設術が施行された。 排便により高マグネシウム血症は改善した。

考察

一般的に経口投与された Mg は主に空腸から吸収され,腎臓から排泄されることで調整されている。吸収率は 25 〜 65%と大きく変化し,血清 Mg 濃度によって吸収率が調整されている。 腎機能が正常である場合,最大で 1 日 6g 以上の腎排泄が可能であるとされ,症候性高 Mg 血症はまれな疾患とされている。

つまり腎機能が正常であれば、マグコロールPに含まれるマグネシウムは1日で排泄が可能であり、高マグネシウム血症になる可能性はかなり低いと言える。

しかしこの症例では、腎機能障害がないにも関わらず糞便腸閉塞によりマグネシウムが排泄されず、結果的に高マグネシウム血症に至ったと考えられる。

感想

この症例報告では、腎機能障害はないと記述されていますがクレアチンや eGFR に対する具体的な記載がありません。 腎機能障害はないというのだから問題がなかったのでしょうが、マグネシウムPのマグネシウムの 65 % が吸収されたとしても 1.755 g であり、 普通の腎機能であれば十分に対処できるはずだと思います。

ただし、マグコロールP投与時には腎障害がなくても、腸閉塞状態になると排泄が不十分になり高マグネシウム血症に至る可能性があるということは憶えておくべきと思います。

ちなみに高マグネシウム血症の症状は、