リンチ症候群

(2024-08-27)

リンチ症候群とは

リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス性大腸がん:Hereditary Non-Polyposis Colorectal Cancer:HNPCC)とは、 遺伝子に問題があるために大腸がん・子宮内膜がんを始め種々の悪性腫瘍が発生する状態で、 常染色体優性遺伝をするために家系的に癌が多発する遺伝性の疾患です。

リンチ症候群の遺伝子変異を持つ人では、約80%が生涯の間に大腸がんを発症すると報告されています。 また、女性では、20-60%が生涯に子宮内膜がん(子宮体がん)を発症するとされています。

診断

『遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016年版』の診断手順は以下のようになっています。

アムステルダム基準Ⅱ

  1. 家系内に少なくとも3名のHNPCCに関連した腫瘍(大腸がん、子宮がん、小腸がん、尿管あるいは腎盂のがん)が認められること
  2. そのうちの1名は他の2名に対して第一度近親者(親、子、兄弟)であること
  3. 少なくとも2世代にわたって発症していること
  4. 少なくとも1名は50歳未満で診断されていること
  5. 家族性大腸腺腫症が除外されていること
  6. 腫瘍の組織学的診断が確認されていること

改訂べセスダガイドライン

  1. 50 歳未満で診断された大腸癌
  2. 年齢に関わりなく,同時性あるいは異時性大腸癌あるいはその他のリンチ症候群関連腫瘍がある
  3. 60 歳未満で診断された MSI-H の組織学的所見を有する大腸癌
  4. 第 1 度近親者が 1 人以上リンチ症候群関連腫瘍に罹患しており,そのうち一つは 50 歳未満で診断された大腸癌
  5. 年齢に関わらず,リンチ症候群関連腫瘍に罹患した第 1 度または第 2 度近親者が 2 名以上いる患者で診断された大腸癌

ちなみにベセスダとはアメリカの地名のようです。

MSI検査とは

細胞分裂の過程においてDNAが複製される時に一定の確率で複製ミスが発生しますが、 細胞にはこのミスを修復するミスマッチ修復(mismatch repair:MMR)機構が備わっています。 このMMR 機構に異常が発生した場合、ゲノム中に存在する1~数塩基単位の繰り返し配列であるマイクロサテライトの繰り返し回数に変化が生じやすくなります。 このような変化はマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability:MSI)と呼ばれ、 MMR の機能欠損を予測するバイオマーカーとして利用されています。 MSI 検査は、がん細胞におけるマイクロサテライトの繰り返し回数の変化の有無を調べるDNA検査です。

( https://www.falco-genetics.com/msi/ )より

確定診断

第2次スクリーニングで異常が認められた場合には、遺伝カウンセリング受診が推奨されます。 遺伝カウンセリングでは、治療やサーベイランスも含めたLSについての詳しい説明、遺伝形式・遺伝学的検査に関する説明だけでなく、 患者の置かれている背景や考え、悩みなど様々なことを考慮した話し合いが行なわれます。 そして、患者が希望した場合に、4種類のミスマッチ修復(MMR)遺伝子とその中のMSH2遺伝子と関係の深いEPCAM遺伝子の5種類の遺伝子について、 生殖細胞系列での遺伝学的検査を実施します。その遺伝学的検査でいずれかの遺伝子に病的バリアントが検出されると、LSと確定診断されます。

( https://www.falco-genetics.com/mmr/medical/ )より