炎症性腸疾患治療における免疫調節薬の位置づけと使用の実際

(2024-05-14)

インターネット上にある以下の論文を中心にまとめます。

炎症性腸疾患治療における免疫調節薬の位置づけと使用の実際

チオプリン製剤の作用機序

AZA は非酵素的に 6-MP に変換される.6-MPはその後,活性化代謝物質である 6-TGN(6-TG monophosphate,6-TG diphosphate, 6-TG triphosphate)に代謝される(Figure 1).

6-TGN は DNAを構成するグアニンと構造式が類似している。

したがって,リンパ球が活性化し DNA が合成される場合,グアニンの部位に 6-TGN が取り込まれ,活性化リンパ球の抗増殖効果をもたらす。 この作用によってリンパ球数が減少する。

さらにチオプリン製剤は,Rac1 遺伝子を抑制することでマクロファージの活性化を制御する。

チオプリン製剤の薬物代謝経路

チオプリン製剤の薬物代謝経路は複雑である。

TPMT は代謝に関わる重要な酵素の 1 つであり,欧米人では TPMT の genotype が問題になるが、アジア人ではほとんど問題にされていない。

重篤な副作用である白血球減少と脱毛との相関が強い NUDT15 (nucleoside diphosphate-linked moiety X-type motif 15)の作用に関しては詳細は不明だが、 6-TGN の中でも特に免疫抑制作用の強い 6 -TGTP を代謝する作用があると考えられている。

実際の投与方法

  1. AZA の初期投与は 25~50mg.
  2. 投与後 1 週間後には来院,血液生化学検査(CBC,AST/ALT,amylase など)を測定する.問題なければ,AZA 25mg 投与の患者に対しては,50mg に増量を行う.
  3. 増量 2 週間後(または以内)に来院.問題なければ,1~2 カ月ごとに採血を行う.
  4. 薬剤効果には,発現までに個人差があるが,2~4 週と考えてよい.ただし,効果が最大限となるためには 2~3 カ月必要と考えられる.日本人は AZA 50mg で効果が認められる場合が多い.
  5. AZA では,悪心,嘔吐など消化器の副作用が時としてみられる.この場合,6-MP(保険適用外)に変更することで,投与が継続可能となる場合が多い.
  6. 投与量の増加にても白血球の低下がみられない場合,至適濃度(235~450pmol/108RBC)に達しているかどうかを判断するために,赤血球中の6-TGN 濃度測定(保険適応外)を行う.
  7. チオプリン製剤の増量にもかかわらず白血球数も変化しない,効果が認められない場合には,6-TGN を測定すべきである.6-TGN は高いが効果が認められない場合は,過剰な免疫抑制が生じるのみである.

6-TGN の検査実施点数は 470 点、つまり 4,700 円かかり、保険が効かないため全額自費となる。

投与中の知っておくべき副作用

消化器症状、肝障害、発熱,発疹,関節痛、白血球減少、膵炎などがある。

膵炎

AZA および 6-MP で治療された患者の 1.3~3.3% で認められる.この副作用は投与量に非依存的であり,ほぼ決まって治療開始 3~4 週間以内に生じるとされている.