自己免疫性胃炎の内視鏡診断

(2024-05-31)

インターネット上にある以下の論文を中心にまとめます。

自己免疫性胃炎の内視鏡診断

AIG の終末像である A 型胃炎の典型的内視鏡所見

AIG は抗胃壁細胞抗体や抗内因子抗体が契機となり,自己免疫機序により炎症が進み胃腺の萎縮・消失に至る.

HP 胃炎の萎縮が前庭部から体部へ進むのに対し,AIG の萎縮は胃体部が萎縮し前庭部は保たれ「逆萎縮」と称される。

萎縮が完成した A 型胃炎では,体部の萎縮は均一でのっぺりとした粘膜を呈する.萎縮の判定には,送気して十分に胃壁を伸展させることが必要である.

固着粘液

最も頻度が高い所見は固着粘液である.これは胃体部から穹窿部に付着し水洗でもなかなか除去できない黄白色調の粘液である。 尿素呼気試験を偽陽性とする弱ウレアーゼ陽性菌の温床となっている.

残存胃底腺粘膜

萎縮が進行する過程で,萎縮から取り残された胃底腺粘膜は斑状や小さな島状の相対的隆起として認識され, NBI(narrow band imaging)の非拡大観察や色素撒布でより明瞭になる(Figure 3a~c).

残存胃底腺粘膜や偽ポリープを拡大すると正常胃底腺の表面構造である規則的な蜂巣状の上皮下毛細血管網SECN(subepithelial capillary network)が確認できる(Figure 3e)

過形成性ポリープ

過形成性ポリープは 21.3 - 38.7 % に見られ、診断の契機となりうる。

NEN(neuroendocrine neoplasm)

AIGに合併する腫瘍性病変として NEN や胃癌がある.

本邦の AIG における NENの合併頻度は 11.4% と報告され,胃体部に黄白色調の粘膜下腫瘍として観察され,AIG では多発することが特徴である(Figure 4b).

萎縮の進んだAIG(A 型胃炎)の拾い上げについては,まず胃体部の高度萎縮を見た時点で疑うのが第一歩である. その上で前庭部を幽門輪まで注意深く観察し, 「相対的に」体部優位かどうか,健常幽門腺が幽門輪周囲にだけでも残っていないかを判断する. 前述の固着粘液や残存胃底腺粘膜の付随所見も参考になる.

内視鏡診断にも限界がある.かなりのベテランでも正診率は 60 % 程度。
生検による組織所見や血清ガストリン,自己抗体などを組み合わせて拾い上げていく必要がある.

AIG の拡大所見

CSA(cast-off skin appearance) : CSAは本来胃底腺でピットとして認識されるべき CO が抜け落ち,抜け殻のようになっている所見で, 多角形のSECN 中央のピットが不明瞭な所見である(Figure 5a).

WGA(white globe appearance) : NBI併用拡大内視鏡観察中に認める,上皮直下に存在する小さな(1mm以下の)白色球状外観.

萎縮進行中の AIG,AIG の経過

粘膜萎縮に伴って過形成性ポリープが消失した症例はある。

Figure 7 は残存胃底腺粘膜が広く残っている症例である.
炎症の標的が胃底腺であることから萎縮は胃体部で多中心性に始まると推測されるが, 大彎側と小彎側の萎縮で進み方が異なる可能性もある.

萎縮の始まった境界部を拡大すると胃小区が小さく区切られて腫大している(Figure 8).

初期像

この症例の胃底腺粘膜は色調は保たれ大彎のひだも正常であるが,RAC(regular arrangement of collecting venules)が観察されず軽度浮腫状で, 近接すると腫大したそれぞれの胃小区が比較的はっきりした溝状の境界をもってびまん性に広がっていた.

インジゴカルミン撒布では胃小区の粘膜模様が強調され,PPI(proton pump inhibitor)を投与した際に観察される敷石状より細かい数の子様粘膜として認識された.

NBI 拡大観察では胃小区の中に腺窩辺縁上皮に囲まれたCO が一部観察されるものの SECN の走行は確認できず,全体が淡く brownish に視認された.