潰瘍性大腸炎に対してサラゾピリンを処方することがありますが、その副作用として稀ながら呼吸器障害(咳嗽・肺炎)があります。
私の持っている資料によると 0.4 % 程度とのことです。
ネット検索で「サラゾスルファピリジンが原因と考えられた薬剤性肺炎の 1 例」を発見しました。
症例:18 歳,女性.
主訴:発熱,全身の皮疹.
既往歴:13 歳時に蝶形紅斑と蛋白尿をきっかけにSLE と診断.以後定期健診のみ受けているが,症状は無く,無治療.
家族歴:特記事項なし.喫煙歴:なし.飲酒:なし.
職業:学生.
ペット飼育:なし.
現病歴:
1998 年 8 月(16 歳時)に頻回の下痢と血便
が始まり当院紹介受診,肛門に痔瘻を認め手術を受け,
CD が疑われ 11 月よりメサラジンの内服を開始してい
た.その後も下痢と血便が持続するため 1999 年 2 月大
腸内視鏡検査を施行,直腸および回盲部に縦走潰瘍を認
め,CD と診断確定.病勢が進行性であることから,2
月 14 日よりメサラジンを SASP(商品名:サラゾピリ
ン)に変更していた.2 月 22 日より 38℃ の発熱,24 日
より両上肢に皮疹が出現,その後全身に皮疹が拡大した
ため,25 日精査加療目的で入院となった.
採血データは、
画像は、
胸部CTでは、胸水とやや辺縁不明瞭な結節を多数認めた。
治療は、メチルプレドニゾロン(以下 mPSL)250mg/日を 3 日間投与したところ,発熱,皮疹は消失し,胸部単純写真上も異常陰影は速やかに消失した.
考察:
薬剤性肺障害,薬剤起因性肺疾患は,さまざまな薬剤
(健康食品も含め)によって誘発される呼吸器障害の総
称である.薬剤性肺障害をきたす薬剤としては,現在ま
でに 200 種類以上にもおよぶ報告があり,原因薬剤は確
実に増加している.従来,副作用が少ないと認識されて
きた漢方薬による発症報告
や,市販薬,健康食品等に
よる発症報告もあり,我々臨床家が薬剤性肺障害に遭遇
する機会も明らかに増加している.
DLST に関して,中川らの薬剤性肺障害の全国調査報告によると,陽性率は 51.5% であったとしている. また近藤の報告でも,薬剤性肺臓炎 175 例の検討にて DLST の陽性率は 66.9% とされており,従って DLST陰性であっても薬剤性肺障害を否定することは出来ない.
薬剤性肺障害の病態であるが,肺血管病変(肺高血圧 症,肺血栓塞栓症,肺静脈閉塞症,肺血管炎),肺実質 病変(間質性肺炎あるいは肺線維症,非心原性肺水腫, 好酸球性肺炎,器質化肺炎,過敏性肺臓炎,肺胞出血), 気道病変(閉塞性細気管支炎,気管支攣縮),胸膜病変 (胸水,胸膜肥厚),縦隔病変(線維性縦隔炎),など, きわめて多彩である.
日本呼吸器学会の薬剤性肺障害の 評価,治療についてのガイドラインでは,薬剤性肺障 害の肺実質病変の病理に関して,画像所見は病理像を反 映するとし,①慢性経過をとる間質性肺炎,②びまん性 肺胞障害(DAD),③非心原性肺水腫,④器質化肺炎, ⑤薬剤誘起性過敏性肺臓炎,⑥好酸球性肺炎の 6 パター ンに分類し,典型的な症例では画像所見に基づく鑑別が 可能であるとしている.
本症例に見られた様な多発結節影は, 他の薬剤を含めても極めて稀な画像所見であり, ブレオマイシンでの報告,チクロピジンでの報告,ミノサイクリンでの報告があるのみである.
結節影をきたす機序は明らかではないが,我々の症例も含め,薬剤の中止とステロイド治療 で速やかに改善が得られていることから,ブレオマイシ ンなどの抗癌剤に見られるような細胞毒性ではなく,何らかのアレルギー機序が考えられる.
当院での症例は 31 歳・女性で潰瘍性大腸炎の軽症例に対するサラゾピリンが原因と考えられました。
この症例と同様に、発熱・下痢で入院し両肺に小結節を多数認め、また胸水も認めました。
採血では軽度の肝障害と血小板低下(10.5万)が認められました。
サラゾピリンには以下のような副作用があります。