薬剤アレルギーにおけるDLST

(2024-04-15)

文献

今回の文献は 「薬剤アレルギーにおけるDLST」 です。

主に皮膚科領域における薬疹がメインです。

DLST とは

DLST とは「drug-induced lymphocyte stimulation test」の略で、「薬剤誘発性リンパ球 刺激試験」と訳されます。実は DLST という言葉は日本では汎用されますが外国では 用いられず、LTT (lymphocyte transformation test)と言われます。

in vitro で患者の末梢血単核球に薬剤を添加するとリンパ球の増殖反応がみられ、それを 薬剤アレルギーの診断に用いようとするものです。

DLST の実際

患者末梢血をヘパリンや EDTA 添加の採血管で採取します。調べる薬剤の数によって採血量は異なりますが,約 10〜 20mL 採血します.

ここからフィコール比重遠心法により単核球を得て、培養液に浮遊し、96 穴プレートでいろいろな薬剤濃 度で培養します。培養時間は 3 日から6 日間で、最後の 12 時間から 18 時間 トリチウムチミジンを添加し、DNA 合成に使われたチミジンの量を液体シンチレーションカウンターで計測します(図1)。

つまり薬剤をリンパ球に添加したことによって、どれくらいリンパ球の DNA 合成が高まったかを調べる訳です。

結果の表し方は、薬剤無添加に比べ薬剤添加により何倍 DNA 合成が促進されたかで示し、これを stimulation index (SI)と言います。薬剤の添加濃度は 既知の血中最高濃度(Cmax)の 1/10、1、10 倍を用います。

DLST で増殖するリンパ球は?

さて実際に DLST で薬剤に反応して増殖するリンパ球は何でしょうか。末梢血の単 核球には T 細胞、B 細胞、NK 細胞、単球、樹状細胞前駆細胞が含まれます。この中で 薬剤に反応するリンパ球は T 細胞です。T 細胞が薬剤に反応するためには抗原提示細胞 が必要になり、それを担うのが単球です。加えて場合によっては樹状細胞前駆細胞と B 細胞も抗原提示細胞になると考えられます。

96 穴プレートに末梢血単核球を1ウェル当たり 3 x 105 個入れたとします。その中に 薬剤反応性の T 細胞はどの位入っているのでしょうか。これは薬疹の経過のどの時期 に採血したのか、あるいは薬疹の程度はどうか、さらにはもっと重要なこととして薬疹 型はどうなのか、などによって異なります。大半は正常 T 細胞でしょうから、数個か ら 1000 個程度1ウェルに入っていると想像されます。しかし1個でも薬剤特異的 T 細 胞が反応しますと、IL-2 や IL-4 といったサイトカインを産生しますので、その周囲の T 細胞も増殖させることになります。こうして DNA 合成結果が増幅されます(図1)。

DLST で反応する T 細胞サブセット

T 細胞のサブセットは、現在、Th1(Tc1)、Th2 (Tc2)、Treg、Th17 に分けられます(図2)。

薬剤がこれらの T細胞サブセットのどれを刺激するのかによって DLST の結果が異なってきます(図3)。

また薬疹の診断としてしば しば用いられるパッチテストの結果も 異なってきます。

薬剤に対して Th1 が 反応しかつ Th2 無反応であれば、妨害 なしの Th1 反応となり、DLST は陽性 になりやすく、パッチテストも陽性に なりやすいと考えられます。

一方、薬 剤に対して Th2 が反応しかつ Th1 が 無反応であれば妨害なしの Th2 反応 となり、DLST は陽性になりやすく、パ ッチテストは陰性になりやすくなりま す。

もし薬剤に対し Th1 と Th2 両方と も反応すれば相殺されたどちらかの反 応となり、DLST もパッチテストも陽性 になりにくくなります。

これらの T 細胞サブセットに加え、反応を抑制する制御性 T 細胞 (regulatory T cell、 Treg)が存在しますので、その多寡によっても全体の反応に影響を与えます。また最近 注目されている IL-17 産生性の Th17 も薬剤に反応しますので、全体の反応を修飾する ことになります。

各薬疹型と DLST の陽性率

さて薬疹の場合、DLST が陽性になるかはその薬疹の型に依存しています。 これは各薬疹型によって、反応する T 細胞サブセットが異なり、また反応生 T 細胞数が異なるこ とによります。

薬疹型における陽性率を過去の報告から渉猟した研究が発表されています。それによりますと、 中毒性表皮融解壊死症(TEN)61%、紅皮症52%、 Stevens-Johnson 症候群 48%、播種状紅斑丘疹型 48%、多形滲出性紅斑型(EM) 40% となっています(武藤美香他:日皮会誌 2000; 110: 1543-8)。

我々の施設で行ってい る結果を、薬剤添加により有意差 (P<0.05)により陽性と判断した結果(図4)と、 stimulation index (SI)>1.8 により陽性と判断した結果(図5)で算出してみました。 その結果、偽リンパ腫型、acute generalized exanthematous pustulosis (AGEP)、TEN、 丘疹-紅皮症型、drug-induced hypersensitivity syndrome (DIHS)が高い陽性率を示す ことがわかりました。

私のまとめ

内容が高度すぎて途中理解できない部分がありました。

  1. in vitro で患者の末梢血単核球に薬剤を添加するとリンパ球の増殖反応がみられることを利用して薬剤アレルギーの診断に利用する。
  2. 薬剤をリンパ球に添加したことによって、どれくらいリンパ球の DNA 合成が高まったかを調べるている。
  3. 薬剤に反応するリンパ球は T 細胞。
  4. 陽性率は、48 - 100 % で平均 53 %。